共有者が反対して不動産を売却できないときの6つの解決策
はじめに:「売りたいのは自分だけ」というもどかしさ
・「親から相続した実家を兄弟3人で共有しているが、一人だけが売却に反対していて話が進まない」
・「離婚したあとも、元の配偶者と共有名義のまま家が残っている」
・「共有者の一人と連絡が取れなくなってしまい、手続きが止まっている」
・「自分の持分は半分以上あるのに、それでも勝手に売れないと言われた」
共有名義の不動産で、共有者が売却に反対している、あるいは連絡が取れないために、売却できずに悩んでいる方は少なくありません。結論から言えば、共有している不動産の全体を売却するには、原則として共有者全員の同意が必要です。一人でも反対していれば、持分がどれだけ多くても、全体を売ることはできません。
しかし、売る手段がまったくないわけではありません。話し合いの進め方を見直す、反対している人の持分を買い取る、自分の持分だけを売る、裁判所の手続きで共有を解消する、所在が分からない共有者について裁判所の手続きを使う、など、状況に応じた複数の解決策があります。
この記事では、共有者が反対して売却できないときに、なぜ売れないのか、どんな選択肢があるのか、それぞれにどんなメリット・デメリットがあるのか、何から始めればよいのかを、順を追って解説します。
※なお、この記事は2026年10月時点の情報をもとにした一般的な解説です。法律や税金の問題は、個別の事情によって結論が変わります。実際の手続きに進む前に、弁護士、司法書士、税理士などの専門家にご確認ください。
この記事でわかること
・共有不動産が、共有者の反対で売れない法律上の理由
・共有になる典型的な原因と、反対されやすいパターン
・反対する理由ごとの、話し合いの進め方
・解決策6つ(話し合い、持分の買取、持分のみの売却、共有物分割請求、不明・判断能力の問題への手続き、売らずに共有を続ける方法)
・令和5年(2023年)4月施行の民法改正で、何が変わったか
・相続で共有になった場合の注意点
・税金、費用、期間の考え方
・絶対にやってはいけないこと
・誰にどの順番で相談すればよいか
第1章 なぜ共有者が一人でも反対すると、不動産を売れないのか
1-1 共有とは:一つの不動産を、複数人で所有している状態
「共有」とは、一つの不動産を、複数の人がそれぞれの割合(持分)で所有している状態をいいます。たとえば、兄弟3人で相続して、それぞれ3分の1ずつの持分を持っているのが典型です。
ここで大切なのは、持分は「土地の3分の1の部分を持っている」という意味ではなく、不動産の全体に対して、3分の1の権利を持っているということです。たとえば、土地の北側の3分の1が自分のもの、という意味ではありません。そのため、不動産の全体をどうするかについては、他の共有者の権利も関わってきます。
1-2 共有物に関する行為と、必要な同意の整理
民法では、共有物に関する行為を、次のように区別しています。
| 行為の種類 | 具体例 | 必要な同意 |
|---|---|---|
| 保存行為 | 建物の修繕、不法占拠者への妨害排除など | 各共有者が単独でできる |
| 管理行為 (軽微な変更を含む) |
賃貸借契約の締結(一定の期間内)、使用方法の決定、形状や効用の著しい変更を伴わない変更など | 持分の価格の過半数 |
| 変更行為 (著しい変更)・処分行為 |
売却、大規模な増改築、解体、土地の分筆など | 共有者全員の同意 |
不動産を売却することは、このうち「処分行為」にあたります。したがって、共有者の全員の同意がなければ、不動産の全体を売ることはできません。
1-3 持分の割合が大きくても、反対は覆せない
「自分は持分が3分の2だから、多数決で売却を決められるはず」と考える方がいますが、それは誤りです。売却は、持分の割合にかかわらず、全員の同意が必要です。持分が90%あっても、10%の共有者が反対していれば、全体の売却はできません。
一方、賃貸に出す、使い方を決めるなど、「管理行為」にあたるものは、持分の過半数で決められます。この違いを知っておくことが、共有問題を考えるうえでの出発点です。
1-4 勝手に売却してはいけない(できない)
共有者全員の同意がないまま、一人が不動産全体を売却する契約を結んだ場合、他の共有者の持分についての売買は有効にならず、買主への所有権の移転ができません。無断で他の共有者の署名や印鑑を用いれば、文書偽造などの犯罪になるおそれもあります。絶対にやってはいけません。
1-5 ただし「自分の持分だけ」は、単独で売却できる
共有者は、他の共有者の同意がなくても、自分の持分だけは自由に売却できます。これが、共有者が反対して売れない場合の、一つの突破口になります。ただし、持分だけの売却には、価格が低くなりやすいなどの課題があります(第5章で詳しく解説します)。
第2章 共有になる典型的なパターンと、反対されやすい場面
2-1 相続による共有
最も多いのは、相続による共有です。遺言がなく、遺産分割の話し合いがまとまらないまま、とりあえず法定相続分の割合で共有名義にしたケースや、相続登記をしないまま時間がたったケースがあります。
相続による共有は、時間がたつほど、問題が複雑になります。相続人の誰かが亡くなると、その相続人の持分が、さらにその子どもたちへ分かれて相続されます(数次相続)。共有者が10人、20人と増え、顔も知らない親戚が共有者に含まれる、という状況も珍しくありません。
2-2 夫婦・親子などによる共有
夫婦で住宅を購入し、住宅ローンの関係で、夫婦それぞれの持分を登記した(ペアローン、持分での共有)ケースもよくあります。この場合、離婚したあとも、共有名義のまま残っていることが、売却を難しくする原因になります。
・一方が住み続けたい、もう一方は売りたい
・住宅ローンが残っていて、売却価格が残債を下回る(オーバーローン)
・相手と連絡を取りたくない、直接話し合えない
・連帯債務や連帯保証になっていて、ローンの扱いが複雑
離婚に伴う共有は、感情的な対立も加わりやすいため、できるだけ早く、第三者(弁護士など)を交えて整理することが望まれます。
2-3 共同で購入した共有
兄弟や、友人、知人と、共同で土地や建物を購入した場合にも共有になります。購入時の目的が変わったり、人間関係が変化したりして、売却をめぐって意見が分かれることがあります。
2-4 どんなときに「反対」が起きやすいか
共有者が売却に反対する背景には、さまざまな事情があります。
・価格に納得していない(もっと高く売れるはず、安すぎる)
・家や土地への思い入れが強い(親の思い出、実家を残したい)
・自分が住み続けたい、使い続けたい
・他の共有者への不信感(過去の相続での不公平感、お金のトラブル)
・売却後の税金や、お金の使い道が不安
・相続人同士の関係が悪く、話し合いを拒否している
・無関心、または、手続きを面倒に感じている
・認知症などで、判断が難しい状態にある
・連絡が取れない、所在が分からない
反対の理由によって、効果的な対応は異なります。次の章で整理しましょう。
第3章 反対する理由ごとの「話し合い」の進め方
まずは、話し合いで解決できるかを探るのが、基本です。裁判所の手続きは、時間も費用もかかり、家族関係を決定的に傷つけることがあります。反対の理由を丁寧に把握することが、第一歩です。
3-1 「価格に納得できない」場合
・複数の不動産会社の査定を取り、客観的な根拠を共有する
・査定額の根拠(周辺の取引事例など)を、全員で確認する
・売り出し価格を、最初は高めに設定し、一定期間で見直す、といった段階的な価格設定を提案する
・売却の条件(最低価格)を、全員で合意しておく
「安く売られるのでは」という不信感が原因であれば、売却の過程を、全員で共有する(査定書、販売状況の報告)ことが、安心につながります。
3-2 「思い入れがあって、手放したくない」場合
気持ちの問題は、数字だけでは解決できません。
・売却を急がず、思い出の品の整理や、最後の片付けの時間を設ける
・売却の時期を、少し先に延ばす(ただし、期限のある特例などがないかを確認)
・反対している人が、買い取る選択肢を提示する(資金面の相談に乗る)
・売却代金を、どう使うか、どう分けるかを、具体的に話し合う
3-3 「自分が住み続けたい」場合
共有者の一人が、すでにその家に住んでいる場合は、売却に反対しやすくなります。
・住んでいる人が、他の共有者の持分を買い取る(代償金を支払う)案
・他の共有者が、使用料(家賃相当)を請求できるかを整理する案
・住み続けたい期間を決める(一定期間後に売却する)合意
3-4 「他の共有者に不信感がある」場合
相続の過去のいきさつや、お金のトラブルが背景にあると、話し合いに応じてくれないことがあります。
・当事者同士では感情的になりやすいため、第三者(弁護士、司法書士、不動産会社)に間に入ってもらう
・連絡は、手紙やメールなど、記録に残る形にする
・一度に全部を解決しようとせず、小さな合意(査定を取ることなど)から積み上げる
3-5 「税金やお金が不安」な場合
売却すると税金がかかるのではないか、手元に残るお金はいくらなのか、という不安から、反対していることもあります。
・売却後の手取りの試算(税金や経費を含めたもの)を示す
・使える税金の特例がないかを、税理士に確認する
・各自の持分に応じた分配の方法を、書面にしておく
3-6 話し合いの基本姿勢
・感情と数字を分ける(思い出を語る場と、条件を話す場を分ける)
・客観的な資料(査定書、登記簿、固定資産税の資料)を共有する
・結論を急がず、期限が決まっている場合は、その理由も共有する
・合意内容は、必ず書面に残す
話し合いが難しい場合や、感情的な対立が深い場合は、早めに専門家に相談しましょう。
第4章 解決策の全体像:共有者が反対しているときの6つの選択肢
共有者が反対している場合に、考えられる解決策は、次の6つです。
| 解決策 | 概要 | 向いているケース |
|---|---|---|
| ① 話し合いで合意形成 | 条件を見直して、全員の同意を得る | 反対の理由が、価格や時期など、調整可能なもの |
| ② 反対者の持分を買い取る | 自分が取得して、単独所有にする | 資金に余裕があり、その不動産を持ちたい、または売りたい |
| ③ 自分の持分だけを売却する | 持分を第三者に売って、共有から抜ける | 早く共有関係から抜けたい。価格の低下を許容できる |
| ④ 共有物分割請求 | 裁判所の手続きで、共有の解消を図る | 話し合いが成立しない。最終手段としての選択 |
| ⑤ 不明・判断能力の問題への手続き | 所在不明の共有者、認知症の共有者などへの法的手続き | 連絡が取れない、判断能力に課題がある共有者がいる |
| ⑥ 売らずに共有を続ける(ルール作り) | 当面は売却せず、使い方のルールを決める | 今は売る時期ではない、全員の合意が難しい |
以降の章で、それぞれを詳しく見ていきます。
① 話し合いで合意形成する
第3章で見た進め方が、これにあたります。最も費用がかからず、関係も壊れにくい方法です。ただし、反対している人が話し合いに応じない場合や、条件が折り合わない場合には、他の方法を検討します。
話し合いの結果を、「売却に同意する」という内容の書面(同意書、売却に関する合意書)にしておくと、あとでトラブルになりにくくなります。
② 反対する共有者の持分を買い取る
反対している共有者の持分を、自分(または賛成している共有者)が買い取ることで、反対者を共有から外し、単独(または賛成者だけ)の所有に整理する方法です。
メリット
・反対者が共有から外れるため、その後の売却や活用を、自分の判断で進められる
・反対者にとっても、自分の持分を現金化できるため、受け入れてもらいやすいことがある
デメリット・注意点
・買い取る資金が必要になる
・持分の評価額について、意見が分かれることがある(不動産全体の価格に持分割合を掛けた額を基準とすることが多いが、交渉による)
・買い取る価格が、時価より大幅に低いと、贈与とみなされて贈与税がかかる可能性がある
・登記の手続き(持分移転登記)が必要
不動産の価格を、客観的に評価するため、複数の不動産会社の査定を取り、全員で確認することをおすすめします。
③ 自分の持分だけを売却する
共有者の同意がなくても、自分の持分だけは自由に売却できることは、先に触れました。この方法を使えば、反対している共有者がいても、自分は共有関係から抜けることができます。
詳しくは、次の章(第5章)で解説します。
④ 共有物分割請求(裁判所の手続き)
話し合いがまとまらない場合の、最終的な解決手段です。各共有者は、いつでも、他の共有者に対して、共有物の分割を請求できます。協議が調わないとき、または協議ができないときは、裁判所に分割を請求できます。こちらも、第6章で詳しく解説します。
⑤ 不明・判断能力の問題への手続き
・共有者の所在が分からない場合
・共有者が認知症などで、判断能力が十分でない場合
・共有者が、相続の手続きをしておらず、相続人が確定していない場合
これらのケースでは、裁判所の関与のもとで進める法的手続きがあります。第7章・第8章で解説します。
⑥ 売らずに共有を続ける(ルールを決める)
どうしても合意ができない、または、今は売る時期ではない、という場合は、共有のまま、使い方のルールを決めておくことも、一つの選択肢です。
・賃貸に出して、賃料を持分に応じて分配する(管理行為なので、持分の過半数で決められる)
・管理を担当する人、費用(固定資産税、修繕費)の負担方法を決める
・将来の売却の時期や条件について、あらかじめ合意しておく
ただし、共有を続けることは、次の世代に、さらに複雑な共有が引き継がれるリスクを伴います。あくまで、期間を区切った暫定的な対応と考えるのがよいでしょう。
第5章 「自分の持分だけ」を売却する方法と、その注意点
5-1 持分の売却とは
共有者は、自分の持分を、他の共有者の同意なしに、第三者に売却できます。売却後は、買主が新たな共有者になります。
5-2 売却先の候補
・他の共有者:もっとも円満に進めやすい相手です。反対している共有者に「持分を買い取ってもらえないか」を打診するのも一つの方法です。
・共有持分を専門に扱う買取業者:共有持分を買い取り、他の共有者との交渉や、共有関係の整理を行うことを専門にする業者です。
・一般の個人(投資家など):数は多くありません。
5-3 価格は、全体の価格に持分割合を掛けた額より、低くなりやすい
たとえば、不動産全体の価値が6,000万円で、持分が2分の1の場合、単純計算では3,000万円になりそうですが、持分のみの売却では、これを大きく下回ることが一般的です。
理由は次のとおりです。
・買主は、不動産を自由に使えない(他の共有者の同意が必要)
・買主が、不動産全体を売却するには、他の共有者の同意が必要
・共有関係の整理に、時間と費用がかかる(場合によっては、裁判が必要)
・買い手が少ない(流動性が低い)
どの程度下がるかは、物件の状況や、他の共有者との関係、買主の判断によって大きく異なります。複数の業者に査定を依頼して、比較することが大切です。
5-4 持分を売却するときの注意点
・他の共有者との関係が悪化するおそれ:知らないうちに、見知らぬ業者が共有者になることに、他の共有者が強い不安や反発を覚えることがあります。可能であれば、売却前に、他の共有者に伝える配慮をしましょう。
・買主が、共有物分割請求などを行う可能性:持分を買った業者が、他の共有者に対して、持分の買取りを求めたり、共有物分割の請求をしたりすることがあります。結果的に、他の共有者が負担を負うことになる可能性があります。
・悪質な業者に注意:強引な営業、不当に低い価格の提示、契約内容を説明しない業者には注意が必要です。宅地建物取引業の免許の有無、取引実績、契約条件を、必ず確認してください。
・税金:持分を売却して利益が出れば、譲渡所得として課税されます。
5-5 持分売却が向いているケース、向いていないケース
【向いているケース】
・他の共有者との関係が悪く、話し合いの余地が少ない
・早く共有関係から抜けたい(維持費や管理の負担を減らしたい)
・価格が下がっても、時間や手間をかけたくない
【向いていないケース】
・不動産全体を、全員の同意で売却できる見込みがある
・持分を売ったあとの、他の共有者との関係を大切にしたい
・価格を重視したい
第6章 共有物分割請求の仕組みと注意点
6-1 共有物分割請求とは
共有者は、いつでも、共有物の分割を請求できます(民法256条)。共有者同士の協議がまとまらない、または協議ができない場合は、裁判所に請求できます。
6-2 手続きの流れ
・Step1 協議:まずは共有者同士で、分割の方法を話し合います。内容証明郵便などで、分割を求める意思を、書面で伝えることもあります。
・Step2 調停(または直接の訴訟):協議がまとまらない場合は、裁判所での調停(話し合いの手続き)を利用する方法や、直接、訴訟を提起する方法があります。調停は、調停委員が間に入って、合意を探る手続きです。
・Step3 訴訟(裁判):調停でも合意できない場合は、裁判所が、判決によって分割の方法を決めます。
6-3 裁判所が命じる分割の方法(令和5年4月施行の改正民法より)
裁判所は、次のいずれかの方法で、共有物の分割を命じることができます(民法258条)。
現物分割:土地を、実際に分けて、それぞれの単独所有にする方法です。土地の場合は、分筆してそれぞれの所有とします。建物や、小さな土地では、現実的でないことが多くあります。
全面的価格賠償(代償分割):共有物の全体を、共有者の一人の単独所有とし、他の共有者には、持分に応じた金銭を支払う方法です。取得する人に、支払能力があることなどが前提です。
競売による換価分割:現物分割も価格賠償もできない場合や、分割すると価格が著しく減るおそれがある場合に、裁判所が競売を命じ、売却代金を、持分に応じて分配する方法です。
6-4 共有物分割請求の注意点
・注意点1:自分の希望どおりになるとは限らない
たとえば、自分は「売却して代金を分けたい」と考えて請求しても、裁判所は、現物分割や価格賠償を命じることがあります。判決の結果は、裁判所が総合的に判断するため、事前に予測しきれません。
・注意点2:競売になると、市場価格より低くなりやすい
競売は、一般の売却と比べて、価格が低くなる傾向があります。換価分割になった場合、全員にとって、手取りが少なくなるおそれがあります。
・注意点3:時間と費用がかかる
訴訟には、数か月から1年以上かかることがあります。弁護士費用、裁判所に納める費用、場合によっては、鑑定費用などが必要です。
・注意点4:家族関係に深い傷が残りやすい
訴訟は、関係を決定的に悪化させることがあります。第三者を交えた話し合いなど、他の方法を、尽くしたうえで検討すべき手段です。
・注意点5:請求できない場合・時期がある
・不分割の特約:共有者の間で、一定期間(最長5年。更新も可能)は分割しないという特約をしている場合は、その期間内の分割請求は制限されます。
・遺産分割が先:相続による共有(遺産共有)の場合は、原則として、共有物分割ではなく、遺産分割の手続きで解決します(第8章で解説します)。
6-5 共有物分割請求は、弁護士に相談を
共有物分割請求は、法律の専門的な判断が必要です。訴訟の方針、分割の方法の見通し、他の方法との比較など、弁護士と相談したうえで進めることを強くおすすめします。
第7章 令和5年4月施行の民法改正で、共有者の問題はどう変わったか
2023年(令和5年)4月1日に、共有に関する民法の規定が見直されました。所在が分からない共有者や、意思表示をしない共有者がいるために、共有不動産が活用できない、という問題に対応するためです。
7-1 改正の主なポイント
① 軽微な変更は、過半数で決められるようになった
共有物の「形状または効用の著しい変更を伴わない変更」は、持分の過半数で決められます。たとえば、小規模な修繕を伴う変更などが対象になります。
② 賛否を明らかにしない共有者がいる場合の対応(賛否不明共有者)
共有者に対して、相当の期間を定めて賛否を催告しても、返答がない場合に、裁判所の決定を得て、その共有者を除いて、管理に関する事項を決められる制度ができました。ただし、この制度は、主に管理行為を対象としており、不動産全体の売却のような「処分」には使えません。
③ 所在不明の共有者がいる場合の対応(所在等不明共有者)
共有者が誰か分からない、または、所在が分からない場合に、次のような裁判所の手続きが整えられました。
・所在等不明共有者の持分の取得(民法262条の2):裁判所に請求し、所在不明の共有者の持分を、他の共有者が取得できる制度です。持分を取得された所在不明の共有者は、時価相当額の支払を請求できます。
・所在等不明共有者の持分の譲渡(民法262条の3):他の共有者全員が、特定の者に持分の全部を譲渡することを条件に、裁判所が、所在不明の共有者の持分を、その特定の者に譲渡する権限を、共有者に与える制度です。これを使えば、所在不明の共有者がいても、不動産全体を売却する道が開けます。
・所在等不明共有者以外の全員の同意で、変更を行える場合(民法251条2項):裁判所の決定を得て、所在不明の共有者を除いた他の共有者全員の同意で、共有物に変更を加えることができます。
④ 共有物分割の裁判の方法の明確化
裁判所が命じられる分割の方法として、現物分割、全面的価格賠償、競売による換価分割が、条文に明記されました(第6章)。
⑤ 相続による共有(遺産共有)の見直し
相続開始から10年を経過した場合に、共有物分割の手続きで解決できるようになるなど、長期間放置された遺産共有を整理しやすくする見直しが行われました(第8章)。
7-2 所在不明の共有者がいる場合の、実際の進め方
所在が分からない共有者がいる場合、次のような流れが一般的です。
・まず、所在を探す努力をする:住民票、戸籍の附票、登記簿上の住所、親族への確認など、可能な調査を尽くす(この調査が不十分だと、裁判所に認められません)
・調査しても所在が分からない場合に、裁判所に申立てを行う
・裁判所が、公告(一定期間、広く知らせる手続き)などを行う
・要件を満たせば、持分の取得または譲渡の決定がされる
・所在不明の共有者の持分に相当する金額を、法務局に供託する、などの手続きを行う
こうした手続きは専門的で、数か月以上の期間がかかることがあります。弁護士や司法書士に依頼して進めるのが現実的です。
7-3 登記簿の住所が古いと、共有者を探しにくい
共有者を探す手がかりの一つが、登記簿上の住所です。しかし、住所が変わっても、登記が更新されていないと、追跡が難しくなります。
この問題に対応するため、2026年(令和8年)4月から、所有権の登記名義人の住所や氏名が変わった場合の登記が、義務化されています(変更から一定期間内の申請が必要。正当な理由なく怠ると、過料の対象となる場合があります)。ご自身の登記の住所が、現住所と一致しているかも、この機会に確認しておくと安心です。(制度の詳細は、法務省の公式情報をご確認ください。)
第8章 相続で共有になっている場合の、特別な注意点
8-1 遺産共有と、通常の共有は違う
相続が発生したあと、遺産分割が終わるまでの、相続人全員による共有(遺産共有)は、通常の共有とは、扱いが異なります。
・遺産共有の状態では、原則として、遺産分割(相続人の間の話し合い、または家庭裁判所の手続き)によって、誰がどの財産を取得するかを決めます。
・通常の共有物分割とは、手続きが異なるため、どちらの手続きを使うべきかを、整理することが重要です。
8-2 遺産分割の手続き
・遺産分割協議:相続人全員の話し合い。全員の合意があれば、成立します。
・遺産分割調停:協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てる。
・遺産分割審判:調停でも合意できない場合は、裁判所が、審判で分割方法を決める。
遺産分割がまとまれば、不動産を売却して代金を分ける(換価分割)、一人が取得して他の相続人に代償金を支払う(代償分割)などの方法で、共有を避けることができます。
8-3 相続開始から10年を過ぎると、扱いが変わる
令和5年4月の民法改正により、相続開始から10年を経過した場合は、原則として、遺産分割における具体的相続分(特別受益や寄与分を考慮した分け方)の主張が制限されるなど、遺産共有を早期に整理するための見直しが行われました。10年を経過した後は、一定の条件のもとで、共有物分割の手続きで、遺産共有を解消できる場合があります。
ただし、制度は複雑で、個別の事情によって扱いが異なります。相続が発生してから、時間が経過している場合は、早めに弁護士などに相談してください。
8-4 相続登記の義務化
2024年4月から、相続登記が義務化されています。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記を申請しなければならず、正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。2024年4月より前に発生した相続で、まだ登記をしていない不動産も対象で、2027年3月31日までの猶予期間内に登記が必要です。
遺産分割がすぐにまとまらない場合は、相続人申告登記という、簡易な手続きで、とりあえず義務を果たす方法もあります。
8-5 共有を避ける・減らす遺産分割の工夫
これから遺産分割を行う場合は、将来のトラブルを防ぐため、できるだけ共有を避けることをおすすめします。
・不動産を売却して、現金で分ける(換価分割)
・一人が不動産を取得し、他の相続人に代償金を支払う(代償分割)
・不動産を、できるだけ分けやすい形(土地の分筆など)にする
「とりあえず共有にしておこう」という選択は、問題を先送りし、次の世代の負担を増やすことになりかねません。
第9章 共有者が認知症・判断能力に課題がある場合
共有者の一人が、認知症などで、自分で契約を結んだり、判断をしたりすることが難しい場合は、通常の方法で売却に同意してもらうことができません。
9-1 成年後見制度の利用
判断能力が十分でない人を、法的に支援する制度が成年後見制度です。家庭裁判所に申し立てて、成年後見人などが選任されると、本人に代わって、後見人が契約などを行います。
・後見人が、本人の不動産(居住用)を売却するには、家庭裁判所の許可が必要になる場合があります
・売却が、本人の利益になるかが、判断の基準になります
・手続きには、一定の期間(数か月以上)と、費用がかかります
・一度、後見人が選任されると、原則として、本人の判断能力が回復するか、亡くなるまで、続きます
9-2 未成年の共有者がいる場合
相続人に、未成年の子どもがいる場合は、親権者(親)が、法定代理人として手続きを行います。ただし、親も同じ相続の共有者である場合は、利益が相反する関係となり、家庭裁判所に「特別代理人」の選任を申し立てる必要があります。
9-3 早めに専門家へ
判断能力に課題がある共有者がいる場合は、売却の手続きが、特に複雑になります。弁護士や司法書士に、早めに相談してください。
第10章 共有不動産の売却と税金・費用
10-1 売却代金は、持分に応じて分配される
共有不動産を、全員の同意で売却した場合、売却代金は、持分の割合に応じて、各共有者に分配されます。譲渡所得(売却益)の計算と、確定申告は、各共有者が、自分の持分について、それぞれ行います。
10-2 譲渡所得の基本
譲渡所得 = 売却価格(自分の持分相当分)−(取得費 + 譲渡費用)
所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」として、税率は約20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税を含む)です。5年以下の場合は「短期譲渡所得」として、約39.63%です。相続した不動産は、亡くなった方の取得時期を引き継ぐため、多くの場合、長期譲渡所得として扱われます。
10-3 税金の特例
・居住用財産の3,000万円特別控除:自分が住んでいた家を売却した場合、一定の要件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。共有で売却する場合は、実際にその家に住んでいた共有者が、それぞれ自分の持分について、この特例を利用できます(要件や適用の細かい扱いは、税理士にご確認ください)。
・相続した空き家(被相続人の居住用財産)の3,000万円特別控除:亡くなった親が一人で住んでいた家を相続し、一定の要件を満たして売却した場合の特例です。令和9年(2027年)12月31日までの売却が対象です。2024年1月以降の売却では、相続人が3人以上の場合、控除額は1人あたり2,000万円までとなります。要件が細かいため、専門家への確認が必須です。
10-4 持分の買取りや共有物分割に伴う税金・費用
・持分を買い取った場合:登記費用(登録免許税、司法書士報酬)、不動産取得税(場合によっては)など
・時価より著しく低い金額で持分を取得した場合:差額が贈与とみなされ、贈与税がかかる可能性があります
・共有物分割や代償金の受け渡し:内容によって、譲渡所得として課税される場合や、されない場合があります。ケースごとに判断が異なるため、実行前に、必ず税理士に確認してください
10-5 共有名義の固定資産税
共有不動産の固定資産税・都市計画税は、共有者が連帯して納付する義務があります。通常は、代表者に納税通知書が届きます。他の共有者が払わない場合でも、納税を怠ると、延滞金や、差押えのリスクがあります。一部の共有者が立て替えて払った場合は、後で、他の共有者に、持分に応じた金額を請求できます。
10-6 共有物分割請求・持分売却などの費用の目安
| 手続き | 主な費用 |
|---|---|
| 弁護士への相談・依頼 | 相談料、着手金、報酬金(事案により異なる) |
| 裁判所への申立て | 収入印紙、郵便切手などの実費 |
| 登記 | 登録免許税、司法書士報酬 |
| 持分売却 | 仲介の場合は仲介手数料、買取の場合は不要なことが一般的 |
| 測量・鑑定 | 必要な場合のみ |
費用の額は、事案や依頼先によって大きく異なります。事前に、見積もりを確認してください。
第11章 絶対にやってはいけないこと
1.他の共有者に無断で、不動産全体を売却する、または契約を結ぶ
先に述べたとおり、全体の売却には全員の同意が必要です。無断で売却契約を結んでも有効にならず、買主への責任(損害賠償など)を負うおそれがあります。
2.他の共有者の署名・押印を、無断で行う
文書偽造などの犯罪になるおそれがあります。
3.感情的な言葉で、一方的に連絡する
感情的なメールや、一方的な通告は、相手の態度を硬化させ、解決をますます難しくします。連絡は、冷静な言葉で、記録に残る形で行いましょう。
4.放置する
「そのうち何とかなる」と放置すると、次のようなリスクがあります。
・共有者の一人が亡くなり、相続が発生して、共有者がさらに増える
・建物が老朽化し、空き家として管理不全となり、行政の指導の対象になる
・固定資産税や維持費の負担が、特定の共有者に偏る
・時間がたつほど、共有者の所在が分からなくなる
5.共有者の一人が、不動産を独占的に使っている状態を、放置する
共有者の一人が、不動産を独占して使用している場合、他の共有者は、一定の要件のもとで、使用の対価(賃料相当額)などを請求できる場合があります。ただし、判断が難しいケースも多いため、弁護士に相談してください。
6.持分の買取業者の、即決の提案に乗る
「今すぐ契約すれば、この金額で買い取る」と迫る業者には注意が必要です。複数社に相談し、契約内容を、時間をかけて確認してください。
第12章 共有不動産の売却で起こりがちな「想定ケース」
ここでは、よくあるご相談のパターンをもとにした想定ケースを紹介します。(以下は典型的な相談パターンをもとにした架空の例であり、実際の成約事例ではありません。)
想定ケース1:兄弟3人で相続した実家、一人が「思い出があるから」と反対
状況:両親が亡くなり、兄弟3人が実家を相続して、持分3分の1ずつで共有している。長男と次男は、売却して現金で分けたいが、三男は「親との思い出があるから、売りたくない」と反対している。
進め方のイメージ
・三男が、売却に反対する理由を丁寧に聞く(感情面か、金銭面か、住みたいのか)
・複数の不動産会社の査定を取り、客観的な価格を全員で共有する
・売却の時期を、一定期間(たとえば、思い出の整理に必要な数か月)猶予する提案をする
・三男が、他の二人の持分を買い取る意思があるかを確認し、資金計画を相談する
・合意できた場合は、売却や買取りの条件を、書面(合意書)にまとめる
ポイント:反対の背景にある本当の理由を探ることで、解決の糸口が見えることがあります。「売る」か「売らない」かの二択ではなく、時期や条件の調整で、合意を得られる場合があります。
想定ケース2:離婚後も、元配偶者と共有名義のまま、家が残っているケース
状況:離婚して数年が経つが、元夫婦で共有名義の自宅が、そのままになっている。元配偶者は、その家に住み続けており、売却には反対している。住宅ローンも、一部が残っている。
進め方のイメージ
・登記簿で、持分の割合と、抵当権(ローン)の状況を確認する
・住宅ローンの残債と、不動産の査定額を比較し、オーバーローンかどうかを確認する
・住み続けている元配偶者が、自分の持分を買い取る方法(代償金の支払い、ローンの借り換え)を検討する
・当事者間の話し合いが難しい場合は、弁護士を代理人として、交渉を進める
・合意できない場合は、持分の売却や、共有物分割請求も検討する
ポイント:離婚に伴う共有は、ローンの問題と、感情の問題が絡み合います。ローンの名義や、連帯債務・連帯保証の関係も整理しないと、単に共有を解消するだけでは、問題が残ります。早めに弁護士に相談することをおすすめします。
想定ケース3:共有者の一人が、連絡不能になっているケース
状況:祖父の代から共有になっている土地。共有者のうち、一人は、数十年前に転居してから、連絡が取れない。他の共有者は、売却を希望している。
進め方のイメージ
・登記簿、住民票、戸籍の附票などで、所在を調査する
・親族や、知人への確認など、可能な調査を尽くす
・それでも所在が分からない場合は、裁判所に、所在等不明共有者の持分の譲渡についての申立てを行うことを検討する
・裁判所の決定が得られた場合は、他の共有者全員の同意を前提に、不動産全体の売却を進める
・所在不明の共有者の持分に相当する額を、供託する
ポイント:所在不明の共有者がいても、令和5年4月施行の民法改正により、裁判所の手続きで、売却への道が開ける場合があります。ただし、調査が不十分だと、申立てが認められません。弁護士や司法書士の力を借りることが、現実的です。
第13章 誰に、どの順番で相談すればよいか
共有不動産の問題は、法律・税金・不動産の評価が、複雑に絡みます。目的や状況に応じて、専門家を使い分けましょう。
| 相談先 | 得意なこと | こんなときに |
|---|---|---|
| 不動産会社 | 不動産の査定、売却の進め方、買取・仲介の提案 | まず、いくらくらいで売れるのかを知りたい。売却の方法を整理したい |
| 弁護士 | 共有者との交渉、共有物分割請求、裁判所の手続き、相続トラブル | 話し合いが難航している、連絡が取れない、訴訟も視野に入れている |
| 司法書士 | 登記(相続登記、持分移転登記)、書類作成 | 名義変更、相続登記、不明共有者の調査・手続きの補助 |
| 税理士 | 譲渡所得税、贈与税、相続税、特例の適用 | 売却や持分の買取りに伴う、税金を知りたい |
| 土地家屋調査士 | 測量、境界の確定、分筆 | 土地の分割や、境界に問題がある |
公的な相談窓口
・法テラス(日本司法支援センター):法的なトラブルについて、情報提供や、弁護士・司法書士の紹介、経済的に余裕がない場合の費用の立替え制度などがあります(利用条件があります)
・弁護士会の法律相談:各地の弁護士会が、法律相談を実施しています
・自治体の無料相談:自治体によっては、法律相談、不動産相談の窓口があります
相談する順番の目安
・まず、現状を整理する:登記簿を取得し、共有者と持分の割合を確認する
・不動産会社で査定を取る:不動産の価値を把握する
・話し合いが難しいと感じたら、早めに弁護士に相談する
・税金が関わる場合は、税理士に確認する
第14章 当社(株式会社ピーエフ&パートナーズ)にご相談いただけること
株式会社ピーエフ&パートナーズは、世田谷区駒沢に拠点を置き、世田谷区・目黒区を中心に、不動産の買取・売却、相続した物件のご相談、賃貸管理、不動産に関するトラブルのご相談まで、幅広く対応しています。20年以上の業界経験と、不動産に関する法務に詳しい弁護士との連携を強みとしています。
当社がお力になれること
・不動産の査定・価値の把握:共有者の間で話し合うための、客観的な価格の目安をお伝えします。
・売却の進め方のご相談:共有の状態での売却の進め方や、売却の条件の整理について、状況をうかがってご相談に応じます。
・法的な課題への対応:権利関係や契約、トラブルなど、法的な課題がある場合は、提携の弁護士と連携して対応します。
・専門家のご案内:登記や税務、裁判所の手続きなどが必要な場合は、状況に応じて、適切な専門家への相談をご案内します。
共有関係の整理は、状況によって、取るべき方法が大きく異なります。まずは、現状をお聞かせください。「売る」「売らない」が決まっていない段階でも、構いません。無理に売却をお勧めすることはありませんので、お気軽にご相談ください。
※売却全般のポイントは、不動産売却で失敗しないためのコツや、あなたに合わせた売却方法のご紹介でも解説しています。
まとめ:共有者が反対していても、「打つ手がない」わけではない
共有者が反対して、不動産を売却できないときの要点を、あらためて整理します。
・全体の売却は、全員の同意が必要:持分の割合が大きくても、一人の反対で、売却はできない。
・まず、反対の理由を知る:価格、思い入れ、住み続けたい、不信感など、理由によって、有効な対応が異なる。
・解決策は6つ:話し合い、反対者の持分の買取り、自分の持分のみの売却、共有物分割請求、不明・判断能力の問題への手続き、売らずに共有を続ける。
・持分のみの売却は、価格が下がりやすい:他の共有者への配慮と、業者選びが重要。
・共有物分割請求は、最終手段:結果が読めず、競売になれば価格が下がる。時間も費用もかかる。
・令和5年4月施行の民法改正を知る:所在不明の共有者がいても、裁判所の手続きで、売却への道が開ける場合がある。
・放置しない:時間がたつほど、共有者が増え、問題が複雑になる。
・専門家を使い分ける:不動産会社、弁護士、司法書士、税理士。
共有の問題は、時間がたつほど、解決が難しくなります。「そのうち何とかなる」と放置せず、まず、現状を整理して、相談することが、最初の一歩です。
「共有者が反対していて売却が進まない」「いくらくらいで売れるのか、まず知りたい」「どの専門家に相談すればよいのか分からない」という方は、お気軽にご連絡ください。
株式会社ピーエフ&パートナーズ
〒154-0012 東京都世田谷区駒沢2丁目6番2号 アイタワー4F(駒沢大学駅より徒歩2分)
電話:03-6805-5999
宅地建物取引業免許:東京都知事(3)第87902号
よくある質問(FAQ)
Q1. 共有者の一人が反対しているだけで、本当に売却できないのですか?
A. 不動産の全体を売却するには、原則として、共有者全員の同意が必要です。一人でも反対していれば、全体の売却はできません。ただし、自分の持分だけの売却、反対者の持分の買取り、裁判所の手続き(共有物分割請求など)といった、他の選択肢があります。
Q2. 持分が過半数あれば、多数決で売却できますか?
A. できません。売却は「処分行為」にあたり、持分の割合にかかわらず、全員の同意が必要です。持分の過半数で決められるのは、賃貸借や使い方の決定などの「管理行為」です。
Q3. 自分の持分だけを売ると、他の共有者に迷惑がかかりますか?
A. 持分を買った人が、新たな共有者になります。買主が、他の共有者に、持分の買取りを求めたり、共有物分割請求を行ったりする可能性があります。他の共有者との関係を考え、可能であれば、売却前に伝えておくことをおすすめします。
Q4. 共有物分割請求をすると、必ず競売になりますか?
A. 必ず競売になるわけではありません。裁判所は、現物分割、全面的価格賠償、競売のうち、事情に応じた方法を命じます。ただし、他の方法ができない場合などには、競売が命じられることがあり、その場合は、市場価格より低くなりやすい点に注意が必要です。
Q5. 共有者の一人が行方不明です。売却はできませんか?
A. 令和5年4月施行の改正民法により、所在が分からない共有者について、裁判所の手続き(持分の取得や、持分の譲渡権限の付与など)を利用できる場合があります。事前に、所在を探す調査を尽くす必要があります。弁護士や司法書士に相談してください。
Q6. 共有者の一人が認知症です。どうすればよいですか?
A. 本人が、売却の意思を表示することが難しい場合は、成年後見制度の利用を検討します。後見人が選任されても、居住用の不動産を売却するには、家庭裁判所の許可が必要になる場合があります。手続きには時間がかかるため、早めに専門家に相談してください。
Q7. 離婚して共有名義のままの家を、売却したいのですが。
A. 元配偶者の同意が必要です。住宅ローンの残債や、連帯債務・連帯保証の関係を、あわせて整理する必要があります。話し合いが難しい場合は、弁護士に相談し、代理人として交渉してもらう方法もあります。
Q8. 共有名義の固定資産税は、誰が払うのですか?
A. 共有者が連帯して納付する義務があります。通常は、代表者に納税通知書が届きます。他の共有者が払わない場合でも、納税を怠ると、延滞金などのリスクがあります。立て替えた場合は、持分に応じて、他の共有者に請求できます。
Q9. 共有を解消するのに、どのくらいの費用と期間がかかりますか?
A. 方法によって、大きく異なります。話し合いで合意できれば、比較的短期間で済みます。裁判所の手続きを利用する場合は、数か月から1年以上かかることがあり、弁護士費用などの負担もあります。まずは、専門家に、状況を相談してください。
Q10. まだ売却するかどうか決めていません。相談だけでもいいですか?
A. もちろんです。「売る」「売らない」を決めていない段階でも、現状の整理や、選択肢の確認のために、ご相談いただけます。
免責事項
本記事は、一般的な情報提供を目的として作成されたものであり、個別の法律・税務・登記に関する助言を行うものではありません。法律や制度の内容は改正されることがあり、個別の事案によって結論が異なります。実際の手続きや判断にあたっては、必ず弁護士、税理士、司法書士などの専門家、または法務省、国税庁などの公式情報をご確認ください。また、記事中の費用、期間、割合などは、一般的な目安であり、個別の結果を保証するものではありません。
参考情報(公的機関)
・法務省:民法・不動産登記法の改正(所有者不明土地関係)について
・法務省:相続登記の申請義務化について
・法務省:住所等の変更登記の義務化について
・国税庁:被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
・国税庁:マイホームを売ったときの特例
・日本司法支援センター(法テラス)