目黒区の築古マンション売却|査定で見られるポイントと高く売るコツ
はじめに:「築年数が古いから、どうせ高く売れない」と諦めていませんか
・「購入から30年以上たったマンションで、築年数だけを理由に安く見積もられそう」
・「大規模修繕や修繕積立金の値上げが心配で、そうなる前に手放したい」
・「親から相続した目黒区のマンションだが、古いので価値があるのか分からない」
・「査定を依頼したいが、どの会社に頼めばよいのか、査定額をどう受け止めればよいのか分からない」
目黒区で築年数を重ねたマンションを売却しようとするとき、多くの方が最初に感じるのは、築年数への不安です。
ところが実際の査定では、築年数だけで価値が決まるわけではありません。立地・広さ・階数・室内の状態、そして意外に重要なのが「マンション全体の管理状態」といった、複数の要素が組み合わさって価格が決まります。
目黒区は、中目黒・自由が丘・学芸大学・都立大学・祐天寺・目黒・駒場といった人気の住宅エリアを抱えており、住まいを探す人の需要が厚い地域です。築年数を重ねたマンションでも、立地や管理状態が評価されて、堅調に取引されるケースは珍しくありません。
反対に、築年数が同じでも、管理が行き届いていないマンションは、思うような価格がつかないこともあります。
この記事では、目黒区で築古マンションの売却・査定を考えている方が、査定で何を見られるのかを理解し、売却の準備を整え、納得できる価格と条件で売却するための情報を、順を追って解説します。
※なお、この記事は2026年10月時点の情報をもとにしています。税制や法制度は改正されることがあるため、手続きの前には必ず公式情報や専門家にご確認ください。
この記事でわかること
・「築古マンション」の目安と、築年数ごとの見られ方
・目黒区の築古マンションが評価されるポイント
・築古マンションが売りにくくなる理由と、その対策
・2026年4月に施行された区分所有法の改正と、売却への影響
・高く売るための準備と、やってはいけないこと
・仲介と買取のどちらを選ぶか、手取りで比べる考え方
・売却の流れ、必要書類、費用と税金の特例
第1章 築古マンションとは? 築年数ごとの「見られ方」を知る
1-1 「築古」に明確な定義はないが、目安がある
「築古(ちくふる)マンション」に法律上の明確な定義はありません。不動産の業界や、探す人の感覚では、おおむね築30年前後を超えたあたりから「築古」と呼ばれることが多くなります。
ただし、築年数の意味は、建築された時期によっても大きく変わります。
1-2 最大の分かれ目は「1981年6月1日」
築古マンションを考えるうえで、最も重要な区切りが新耐震基準と旧耐震基準の違いです。
・旧耐震基準:1981年(昭和56年)5月31日以前に建築確認を受けた建物に適用された基準
・新耐震基準:1981年(昭和56年)6月1日以降に建築確認を受けた建物に適用されている基準
新耐震基準は、大地震でも倒壊しないことを目標に定められています。旧耐震基準の建物がすべて危険というわけではありませんが、買い手の側から見ると、耐震性への不安・住宅ローンの審査・税制上の優遇の可否など、いくつかのハードルが生じやすくなります。
注意したいのは、「建築確認を受けた日」が基準になることです。完成が1981年6月以降でも、建築確認が1981年5月以前であれば、旧耐震基準の建物となります。登記簿上の築年月と、建築確認の日付がずれるケースがあるため、正確には建築確認済証や、管理会社の資料などで確認します。
1-3 築年数のゾーンごとの傾向
| 築年数の目安 | 一般的な見られ方 |
|---|---|
| 築20〜30年 | 設備の更新や、2回目の大規模修繕の時期。管理状態の差が出始める |
| 築30〜40年 | 築古と認識されやすい。リフォームやリノベーション前提で探す層が中心に |
| 築40年〜(新耐震) | 管理状態と立地が価格を大きく左右。長期修繕計画の中身が重視される |
| 旧耐震(1981年5月以前) | 耐震性、ローン、税制優遇の面で慎重に見られる。管理状態の良し悪しがより重要に |
※あくまで一般的な傾向であり、実際の評価はマンションごとに異なります。
1-4 築古マンションにも「買い手」がいる
築古マンションは、決して「売れないもの」ではありません。むしろ、次のような買い手層が存在します。
・リノベーション目的の買い手:築年数が古い分、価格を抑えて購入し、自分好みに全面改装したい層
・立地重視の買い手:新築や築浅では手が届かない人気エリアに、築古であれば住める、という層
・投資・賃貸用の買い手:賃貸需要の高い駅近の物件を、収益目的で購入する層
・管理のよい古いマンションを好む買い手:しっかりした管理と、ゆとりある専有面積や敷地を評価する層
売却では、自分の物件の魅力がどの買い手層に響くかを見極めることが大切です。
第2章 目黒区の築古マンションが評価される理由と、気をつけたい点
2-1 目黒区の「立地の強さ」
目黒区は、都心の渋谷・恵比寿・品川へのアクセスのよさと、落ち着いた住環境を両立しているエリアです。東急東横線・目黒線・田園都市線・大井町線・東京メトロ日比谷線・JR山手線・東京メトロ南北線・三田線など、複数の路線が利用でき、通勤・通学の利便性が高いことも魅力です。
エリアごとの特徴を、一般的な傾向として挙げてみましょう。(以下は一般的な傾向であり、個別の物件の価格を示すものではありません)
・中目黒・祐天寺周辺:おしゃれな街並みと利便性で、若い世代から高い人気。賃貸需要も厚い
・自由が丘・奥沢周辺:ブランド力の高い住宅地で、ファミリー層・シニア層に人気
・学芸大学・都立大学周辺:落ち着いた商店街と住環境で、ファミリー層に支持される
・目黒・駒場・上目黒周辺:都心へのアクセスが抜群で、通勤利便性を重視する層に人気
目黒区が公表している空家対策の考え方でも、区の空家率は低く、空き物件の流動性が高いため、空家の状態が長期化することは少ないと考えられている、という趣旨が示されています。
つまり、目黒区の不動産は、需要の裏づけがあるエリアです。この需要の強さは、築古マンションの売却でも追い風になります。
2-2 気をつけたいのは「管理状態」と「地形・環境」
一方で、目黒区の築古マンションならではの注意点もあります。
・坂や高低差:駅から近くても、急な坂を上る立地の場合、買い手の評価が分かれることがあります
・前面道路や周辺環境:幹線道路沿いの騒音、住宅密集地での日当たりなど
・敷地の形状・駐車場の有無:古いマンションは、駐車場の台数が少ない、機械式駐車場の維持費が重いなどの課題が出ることがあります
・管理状態の差:同じ駅、同じ築年数でも、管理状態によって評価が大きく変わります
この「管理状態」が、築古マンションの売却では最も重要なポイントになります。次章以降で詳しく見ていきましょう。
第3章 査定で何を見られる? 築古マンションの評価ポイント
不動産会社がマンションを査定するときは、大きく分けて「専有部分」「共用部分・管理」「立地・権利」の3つの視点で見ています。
3-1 専有部分(お部屋そのもの)
| チェック項目 | 見られるポイント |
|---|---|
| 専有面積・間取り | 広さと、使いやすい間取りか。築古は面積が広めの物件が多く、強みになることも |
| 所在階 | 高層階ほど評価が高い傾向。1階は専用庭があるかなども影響 |
| 向き・眺望・日当たり | 南向き、角部屋、眺望のよさ、採光・通風 |
| 室内の状態 | 壁・床の傷み、水回りの状態、においなど |
| リフォーム・リノベーション履歴 | 実施した時期と内容。最近の改装は評価されやすい |
| 設備 | キッチン、浴室、トイレ、給湯器、エアコンなどの劣化状況 |
| 専有部分の配管 | 給排水管の更新状況。老朽化していると不安材料に |
3-2 共用部分・管理(マンション全体)
築古マンションの売却では、ここが価格を左右する最大のポイントです。
| チェック項目 | 見られるポイント |
|---|---|
| 管理体制 | 管理組合が機能しているか、管理会社の対応、管理人の勤務形態 |
| 大規模修繕の履歴 | 実施した回数と時期、内容。外壁、屋上防水、給排水管、エレベーターなど |
| 長期修繕計画 | 計画が適切に作られ、定期的に見直されているか |
| 修繕積立金の残高 | 今後の修繕に足りる額が積み立てられているか |
| 管理費・修繕積立金の額 | 金額が適正か。近い将来の値上げや、一時金の予定はないか |
| 滞納状況 | 管理費・修繕積立金の滞納がどのくらいあるか |
| 総会議事録・理事会の記録 | 大きな議題、トラブル、今後の予定 |
| 共用部の見た目 | エントランス、廊下、ゴミ置き場、駐輪場などが清潔に保たれているか |
買い手は、築年数が古いほど、「将来、思わぬ出費が発生しないか」を気にします。修繕積立金が十分に積み立てられ、長期修繕計画が適切に運用されているマンションは、築古であっても安心感があり、評価されやすくなります。
3-3 立地・権利関係
・駅からの距離:徒歩何分か。築古でも駅近は強い
・周辺環境:商業施設・学校・公園・病院など
・敷地の権利:所有権か借地権か(借地権付きマンションは評価が異なる)
・用途地域・容積率:将来の建て替え可能性にも関わる
・既存不適格かどうか:現在の法規制に合わない状態で建っているか
3-4 耐震性
旧耐震基準の物件では、耐震診断の有無や結果、耐震改修の実施状況が重視されます。耐震診断を受けて安全性が確認されている、耐震補強工事を行っているといった情報は、買い手の安心材料になります。
第4章 査定の種類と仕組み:査定額は「売れる価格」とは限らない
4-1 2種類の査定方法
物件の所在地・築年数・面積・階数などの情報をもとに、現地を見ずにおおよその価格を算出する方法です。短時間で結果が出ますが、室内の状態や管理状況が反映されないため、あくまで目安です。
不動産会社が現地を訪れ、室内の状態や、共用部分・周辺環境などを確認して、精度の高い査定額を算出する方法です。築古マンションでは、特に管理状態や室内の状態が価格を左右するため、訪問査定を受けることをおすすめします。
4-2 査定額が決まる仕組み
マンションの査定では、主に「取引事例比較法」が使われます。同じマンション内、または近隣の似た条件のマンションの直近の成約事例を探し、それらと比べて査定対象の物件の価格を調整する方法です。
・同じマンションの過去の成約事例(最も参考になる)
・近隣の同程度のマンションの事例
・階数・向き・面積・リフォームの有無などによる補正
・現在の市場動向(買い手の需要・金利・売り出し中の競合物件)
賃貸に出されることが多い物件や、投資用として売買される物件では、収益還元法(賃料収入から価格を逆算する方法)が参考にされることもあります。
4-3 「査定額」と「成約価格」は別物
査定額は、不動産会社が「おおむねこの価格で売れるだろう」と見込んだ価格であり、確実に売れる価格ではありません。実際には、売り出し価格を設定し、買い手との交渉を経て、成約価格が決まります。
気をつけたいのは、他社より高い査定額を出して、契約を取ろうとする会社があることです。高い査定額を信じて売り出したものの買い手がつかず、結局、値下げを重ねることになるケースもあります。査定額の高さよりも、根拠の説得力を重視してください。
4-4 自分でできる相場の調べ方
査定を依頼する前に、おおよその相場を自分で調べておくと、査定額の妥当性を判断しやすくなります。
・国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で、実際の取引価格情報を調べる
・不動産流通機構の「レインズ・マーケット・インフォメーション」で、成約事例の傾向を見る
・不動産ポータルサイトで、同じマンションや近隣の、現在の売り出し価格を確認する
(※売り出し価格は、実際の成約価格より高めに設定されていることが多い点に注意してください)
・目安は3社程度(多すぎると対応が大変になる)
・地元の事情に詳しい会社と、大手の会社を組み合わせるのも一つの方法
・査定額だけでなく、根拠の説明・売却戦略の提案・担当者の対応を比べる
・同じ条件(物件情報・希望時期)で依頼する
第5章 築古マンションが「売りにくい」といわれる理由と、その対策
築古マンションの売却には、いくつかの典型的なハードルがあります。理由を知っておけば、事前に対策を打つことができます。
5-1 住宅ローンの審査が厳しくなりやすい
金融機関によっては、築年数が古い物件に対して、融資の期間を短くしたり、融資額を抑えたりすることがあります。買い手がローンを利用する場合、希望の借り入れができないと、購入を断念されてしまうおそれがあります。
・対策: 購入を検討する人がローンを使いやすいように、物件の情報(管理状況・修繕履歴・耐震性など)をしっかり整理して提示します。また、現金で購入できる買い手や、リノベーション一体型のローンを利用する買い手など、買い手の層を意識した売り方も有効です。
5-2 買い手が使える税の優遇に条件がある
買い手が住宅ローンを組んで購入する場合、住宅ローン控除(住宅ローン減税)を受けられるかどうかが、購入の判断に影響します。住宅ローン控除は、2030年(令和12年)12月31日まで延長されることとなりましたが、既存住宅については築年数や耐震性などの要件があります。昭和57年以降に建築された住宅であれば、築年数の要件は満たす扱いとなっていますが、それより前の旧耐震の建物では、耐震基準に適合していることの証明が必要になる場合があります。また床面積の要件(原則50㎡以上など)もあります。
・対策: 旧耐震の物件の場合は、耐震診断の結果や、耐震基準適合の証明書があると、買い手にとって大きな安心材料になります。ただし、証明書の取得には費用と期間がかかるため、取得するかどうかは不動産会社や専門家に相談して判断してください。
5-3 管理費・修繕積立金の値上がりや、一時金への不安
築年数が進むほど、修繕にかかる費用が増え、修繕積立金が値上げされたり、一時金の徴収が行われたりすることがあります。買い手は、購入後の負担を気にします。
・対策: 長期修繕計画や、修繕積立金の残高、今後の値上げ予定などを、売主側が事前に整理しておきます。「今後の見通しが分かりやすい」ことは、築古マンションの大きな強みになります。
5-4 将来の建て替え・老朽化への不安
築年数が古いマンションでは、「将来、建て替えるのか、それとも住み続けるのか」「老朽化で住めなくなったらどうなるのか」という不安が買い手の心理に影を落とします。
5-5 専有部分の設備・配管の劣化
給湯器・換気扇・水回り・給排水管などの劣化は、築古マンションでは避けられません。買い手が修繕費用を見込んで、価格交渉をすることがあります。
・対策: 修繕すべきか現状のまま売るかは、事前に不動産会社に相談します。売主が修繕して売るより、現状のまま売り、その分価格を調整するほうが結果的に有利になることも少なくありません。
6-1 2026年4月に施行された区分所有法の改正
老朽化したマンションの増加を背景に、2025年5月に区分所有法などの改正法が成立し、2026年(令和8年)4月1日から施行されています。主な改正の方向性は、次のとおりです。
・建て替えや、建物の更新などの意思決定を円滑にする:一定の要件を満たす場合に、建て替え決議の賛成割合の要件が緩和されるなど、老朽化したマンションの再生を進めやすくする見直しが行われました
・所在が分からない区分所有者への対応:総会の決議などにおいて、所在が分からない区分所有者を、裁判所の関与のもとで除外し、意思決定を進められる仕組みが整えられました
・管理の円滑化:総会の出席者の多数決のルールの見直しや、管理者に関するルールの明確化など、管理面での改善が図られています
(※詳細は、法務省・国土交通省の公式情報や、マンション管理の専門家にご確認ください)
6-2 売却にどう影響するか
法改正は、すぐに売却価格に反映されるわけではありません。ただ、老朽化したマンションが将来的に再生される道筋が整理されることで、買い手の心理的な不安が和らぐ可能性があります。
一方で、管理組合が機能しているかどうかは、これまで以上に重要になります。売却時には、管理組合の活動状況を買い手にきちんと伝えることが大切です。
6-3 東京都の「マンション管理状況届出制度」と目黒区の支援
東京都では、一定の古いマンションについて、管理状況を行政に届け出る制度が設けられています。目黒区の案内によれば、昭和58年(1983年)12月31日以前に新築され、居住用の住戸が6戸以上ある分譲マンションが、届出が必要なマンションとされています。
目黒区では、届出が受理された要届出マンションなどを対象に、マンションアドバイザーの派遣が行われる場合があります。
売主の立場でできることとしては、自分のマンションが届出の対象かどうか、届出がされているかを管理組合や管理会社に確認し、管理に関する情報を把握しておくことです。
第7章 高く売るための準備:やるべきことと、やってはいけないこと
準備1:マンション内の「成約事例」と「売り出し中の物件」を確認する
同じマンション内の過去の成約事例は、最も参考になる情報です。不動産会社に調べてもらいましょう。また、現在売り出し中の同じマンションの物件があれば競合になります。自分の物件が競合と比べてどこが優れ、どこが劣るのかを整理します。
準備2:書類を揃える
築古マンションの売却では、書類の充実が買い手の安心感につながります。次の書類を探しておきましょう。
・購入時の売買契約書・重要事項説明書
・マンションの分譲時のパンフレットや図面
・管理規約・使用細則
・長期修繕計画書・修繕履歴
・総会の議事録(直近数年分)
・耐震診断の報告書(あれば)
・専有部分のリフォーム・リノベーションの履歴・図面・保証書
・固定資産税・都市計画税の納税通知書
・管理費・修繕積立金の金額が分かる資料
準備3:管理情報を「見える化」する
築古マンションでは、管理の良さをアピールできるかどうかが勝負です。次の点を売却資料にまとめておきましょう。
・大規模修繕の実施回数と時期・内容
・修繕積立金の残高
・管理費・修繕積立金の滞納状況
・管理組合の運営状況(理事会・総会の開催状況)
・共用部分のリニューアルなどの実績
準備4:室内を整える(最優先はクリーニングと片付け)
売却前の準備で、費用対効果が最も高いのは、片付けとハウスクリーニングです。水回り(キッチン・浴室・洗面・トイレ)の清掃は、内覧時の印象を大きく左右します。
準備5:リフォームは「やりすぎない」
「築古だから、リフォームしてから売ったほうが高く売れるのでは」と考える方もいますが、大規模なリフォームは必ずしも得とは限りません。理由は次のとおりです。
・買い手が自分好みのリノベーションを希望していることが多い
・リフォーム費用が、売却価格に上乗せできるとは限らない
・中途半端なリフォームは、かえって買い手の希望を妨げる
準備6:売り出し価格の戦略を立てる
築古マンションは、売り出し価格の設定が結果を大きく左右します。
・相場に近い価格で、最初の1〜2か月に反響を集中させる
・反響が少ない場合は、価格や売り方の見直しを早めに行う
・値下げのタイミングと幅を、あらかじめ不動産会社と相談しておく
準備7:内覧対応を丁寧に行う
買い手は不安材料を探しながら見ています。正直に丁寧に答えることが信頼につながります。
・気になる点(水漏れの履歴・騒音の有無・近隣の状況など)は隠さず伝える
・管理状態のよい点を具体的にアピールする
・内覧の前に、換気・照明・整理整頓を行う
やってはいけないこと
・不具合を隠す(契約不適合責任や告知義務の問題につながります)
・相場を無視した価格設定
・1社だけの査定で決める
・売却の事情を急かされて、安易に決める
・管理組合への確認を怠る(滞納金や修繕予定などは必ず事前に確認する)
第8章 仲介と買取、どちらがよい? 築古マンションの考え方
8-1 基本的な違い
| 比較項目 | 仲介 | 買取 |
|---|---|---|
| 売却先 | 一般の買い手 | 不動産会社 |
| 価格 | 市場価格で売れる可能性がある | 仲介より低くなる傾向 |
| 期間 | 数か月かかることがある | 短い(条件が整えば1か月程度から) |
| 仲介手数料 | 必要(上限は法律で定められている) | 業者が直接の買主となる場合は不要なのが一般的 |
| 内覧対応 | 必要 | 不要または最小限 |
| 室内の状態 | 整えてから売るのが基本 | 現状のまま売却できる場合がある |
| 売却後の責任 | 買主との合意内容による | 契約不適合責任を免責とする契約が一般的 |
8-2 買取が向いているケース
・築年数が古く、室内の傷みが大きい、設備の劣化が進んでいる
・賃貸中で、入居者がいる状態のまま売却したい(オーナーチェンジ)
・相続したマンションで、遠方に住んでいて対応が難しい
・売却後の不具合の責任を負いたくない
8-3 手取りで比べる(説明用の計算例)
以下は、考え方を示すための仮定の数字です。実際の金額は、物件ごとに異なります。
| 項目 | 仲介で売却 | 買取で売却 |
|---|---|---|
| 売却価格(仮定) | 5,000万円 | 4,250万円(仲介価格の85%と仮定) |
| 仲介手数料(税込の上限額) | 約172万円 | 不要 |
| ハウスクリーニング・簡易補修(仮定) | 約20万円 | 0円(現状渡しの場合) |
| 売却までの管理費・修繕積立金・固定資産税(仮定、半年分) | 約25万円 | ほぼ0円 |
| 手取りの目安(税引前) | 約4,783万円 | 約4,250万円 |
(※諸費用=管理費・修繕積立金・固定資産税)
この仮定では、仲介のほうが手取りは多くなります。買取が選ばれるのは、スピードや確実性、手間の軽減に価値を置く場合です。「どちらが得か」は、価格だけでなく、時間・手間・リスクを含めて判断してください。
8-4 「買取保証付き仲介」という選択肢
一定期間は仲介で売り出し、売れなかった場合はあらかじめ決めた価格で不動産会社が買い取る方法もあります。仲介で高く売ることを試しつつ売れ残りのリスクを抑えられますが、保証価格が低めに設定されていることもあるため、条件を書面で確認してください。
第9章 売却の流れと、必要書類
9-1 売却の流れ(8ステップ)
Step1 相談・情報整理
売却の目的、希望の時期や価格、物件の情報を整理します。
Step3 不動産会社の選定・媒介契約
査定額の根拠・売却戦略・担当者の対応を比べて会社を選び、媒介契約を結びます。
Step4 販売活動
物件情報の掲載、内覧対応などを行います。反響を見ながら価格や売り方を調整します。
Step5 購入希望者との交渉・売買契約
購入申込みが入ったら条件を交渉し、合意すれば売買契約を結びます(手付金の受取)。
Step6 引き渡しの準備
住宅ローンが残っている場合は抵当権の抹消の手続きを準備します。管理費の精算や引っ越しの手配も進めます。
Step7 決済・引き渡し
残代金の受け取り、所有権の移転登記、抵当権抹消登記を同日に行います。鍵の引き渡しもこのタイミングです。
Step8 確定申告
売却による利益が出た場合や特例を受ける場合は、翌年に確定申告をします。
9-2 期間の目安
仲介の場合、売却活動を始めてから引き渡しまで、3か月〜6か月程度かかることが一般的です。買取の場合は、条件が整えば1か月程度で完了することもあります。
9-3 マンション売却ならではの必要書類
・登記識別情報通知(権利証)
・本人確認書類・実印・印鑑証明書
・固定資産税・都市計画税の納税通知書
・管理規約・使用細則
・重要事項に係る調査報告書(管理会社が作成)
・長期修繕計画書
・付帯設備表(引き渡す設備の一覧と状態)
・物件状況報告書(告知書)
・購入時の売買契約書・重要事項説明書
・住宅ローンの残高証明書(ローンが残っている場合)
重要事項調査報告書は、管理会社に依頼して取得するもので、費用と日数がかかるのが一般的です。早めに依頼しておきましょう。
第10章 費用と税金:手取りを守るために知っておくこと
10-1 売却にかかる主な費用
| 費用 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 不動産会社に支払う報酬 | 成約時に必要。上限は法律で定められている |
| 印紙税 | 売買契約書に貼る印紙 | 契約金額に応じた額 |
| 登記費用 | 抵当権抹消登記、住所変更登記など | 登録免許税と司法書士報酬 |
| 管理費・修繕積立金の精算 | 引き渡し日を基準に日割り精算 | 買主との間で行うのが一般的 |
| 重要事項調査報告書の取得費用 | 管理会社への依頼費用 | 管理会社によって異なる |
| ハウスクリーニング・補修費用 | 必要に応じて | 現状渡しなら不要なことも |
| 譲渡所得税・住民税 | 売却益が出た場合 | 特例で軽減できる場合がある |
10-2 譲渡所得税の基本
売却して利益(譲渡所得)が出た場合、税金がかかります。
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)
所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」として税率は約20.315%、5年以下の場合は「短期譲渡所得」として約39.63%と高くなります。
10-3 自宅を売る場合の特例:居住用財産の3,000万円特別控除
自分が住んでいたマンションを売却した場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。
・現在住んでいる、または住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
・売却先が、配偶者や直系血族など特別な関係にある人ではないこと
・前年・前々年に、この特例や一定の買い換えの特例などを受けていないこと
※特例を使うには確定申告が必要です。
10-4 所有期間が10年を超える場合の軽減税率
所有期間が10年を超える場合は、3,000万円特別控除を適用したうえで、さらに譲渡所得のうち6,000万円以下の部分について軽減された税率が適用される特例があります。
10-5 相続したマンションを売る場合の注意
・相続登記が必要:2024年4月から義務化されています。
・「空き家の3,000万円特別控除」は対象外:区分所有建物であるマンションは原則として対象になりません。
・相続税の取得費加算の特例:相続税の申告期限の翌日から3年以内に売却した場合は使える可能性があります。
・小規模宅地等の特例:一定の要件を満たす場合、土地の評価額が減額されます。
10-6 売却損が出た場合
購入時より安く売却する場合、一定の要件を満たせば譲渡損失を他の所得と相殺(損益通算)したり、翌年以降に繰り越したりできる特例があります。
第11章 売却のタイミング:いつ売るのがよい?
11-1 大規模修繕・修繕積立金の値上げの前後
大規模修繕の実施が決まっている場合や修繕積立金の値上げが予定されている場合は、買い手の負担感が増し、価格に影響することがあります。一方、終わったばかりのマンションは「当面、大きな出費がない」という安心感から評価されやすくなります。
11-2 築年数の節目
「築30年」「築40年」などの節目で買い手の印象が変わることがあります。年が変わると築年数の表記が1年進むため、年末までに売り出すなどの戦略を考えることもあります。
11-3 住み替えの場合:売り先行か、買い先行か
・売り先行:売却代金が確定してから購入できるため資金計画が立てやすい(仮住まいが必要になることも)
・買い先行:次の住まいをじっくり選べる(二重ローンや売却が長引くリスクあり)
11-4 市場環境の変化
金利や市況は変動しますが、完璧に予測するのは困難です。ご自身の事情(ライフプラン・資金計画)を軸にして売却時期を決めることをおすすめします。
第12章 築古マンション売却で起こりがちな「想定ケース」
想定ケース1:管理状態をしっかり伝えて、築年数の不利を補うケース
状況:築40年超(新耐震)。内装は古いが、修繕積立金は十分で計画通り修繕済み。
進め方のイメージ:
管理会社から資料を取り寄せる
管理状況の良さを分かりやすくまとめた資料を作成
室内はハウスクリーニングと片付けにとどめる
内覧では「将来の不安が少ないマンション」であることを具体的に説明
想定ケース2:相続したマンションを、短期間で整理するケース
状況:親が亡くなり古いマンションを相続。相続人は遠方で対応が難しい。
進め方のイメージ:
相続登記を済ませ名義を変更
管理費等の滞納がないか確認する
仲介と買取の両方で査定を受け、手取りと期間を比べる
手間がかからない等の事情から買取を選択肢に入れて検討
想定ケース3:旧耐震のマンションを、条件を整理して売却するケース
状況:築45年(旧耐震)。耐震診断の記録なし。駅近で広い。
進め方のイメージ:
建築確認の日付や、耐震診断の検討状況を確認
ローン利用時の制約を整理
リノベーション目的の買い手・現金購入の買い手などターゲットを絞って活動
判明している管理・修繕の情報をできる限り開示する
第13章 査定を依頼する会社の選び方:5つのチェックポイント
目黒区周辺での取引事例を、具体的に把握しているか
(「同じマンションの成約事例」を示せる会社は地域に精通しています)
査定額の根拠を、分かりやすく説明してくれるか
(「高く売れます」だけで根拠が曖昧な会社には注意)
管理状況やリスクも含めて、正直に話してくれるか
(デメリットやハードルも隠さずに説明する会社が信頼できます)
売却戦略(誰に、どう売るか)を提案してくれるか
(価格設定の戦略や販売活動の方法などを具体的に提案できるか)
相続・法務・税務などの課題にも対応できるか
(司法書士・弁護士・税理士などの専門家と連携できる体制があるか)
※「今すぐ契約を」と判断を急がせる会社には注意してください。
第14章 当社(株式会社ピーエフ&パートナーズ)にご相談いただけること
株式会社ピーエフ&パートナーズは、世田谷区駒沢に拠点を置き、世田谷区・目黒区を中心に不動産の買取・売却・相続のご相談などに幅広く対応しています。
当社がお力になれること
・無料査定のご相談:物件状態や管理状況を踏まえて売却の見通しをお伝えします
・買取と仲介の両面からのご提案:ご事情に合わせて比較しながら進め方を整理します
・相続したマンションのご相談:売る・貸す・持ち続けるなど選択肢を整理します
・法的な課題への対応:提携の弁護士と連携して対応します
・税金・登記に関するご案内:状況に応じて専門家への相談をご案内します
「いくらくらいになるのか、目安だけ知りたい」という段階でも構いません。お気軽にお声がけください。
まとめ:築古マンションの売却は、「築年数」より「見せ方」と「準備」で変わる
築年数だけで価値は決まらない:専有部分・管理状態・立地・権利関係の組み合わせ
最大の分かれ目は新耐震・旧耐震:1981年6月1日以降の建築確認かどうか
管理状態が価格を左右する:修繕履歴・長期修繕計画・積立金残高を見える化する
査定額は「売れる価格」とは限らない:根拠の説得力を重視し、3社程度で比べる
準備は書類と清掃が中心:リフォームはやりすぎず、買い手の希望を残す
仲介と買取は、手取りと期間で比べる:優先順位(価格・スピード・手間)を決める
税金の特例は契約前に確認する:要件と期限を専門家に確認する
株式会社ピーエフ&パートナーズ
〒154-0012 東京都世田谷区駒沢2丁目6番2号 アイタワー4F(駒沢大学駅より徒歩2分)
電話:03-6805-5999
宅地建物取引業免許:東京都知事(3)第87902号
よくある質問(FAQ)
Q1. 築40年を超えたマンションでも、売却できますか?
A. 売却できます。立地や広さ、管理状態によって需要があります。特に目黒区では、リノベーション目的や立地重視の買い手がいます。まずは査定を受けてみてください。
Q2. 旧耐震のマンションは、売れないのでしょうか?
A. 売れないわけではありません。ただし、ローン審査や税の優遇で条件が厳しくなることがあります。耐震診断の結果や管理組合の取り組みを整理し、丁寧に説明することが大切です。
Q3. 売却前にリフォームしたほうがよいですか?
A. 一般には大規模なリフォームはおすすめしません。買い手が自分好みに改装することを前提にしていることが多く、費用が価格に反映されにくいためです。ハウスクリーニングや軽微な補修にとどめるのが基本です。
Q4. 管理費や修繕積立金が滞納されているマンションは、売りにくいですか?
A. 組合全体の滞納額が大きい場合は評価に影響することがあります。自分の滞納がある場合は売却前に清算する必要があります。
A. 多くの会社で無料です。3社程度に依頼して、査定額の根拠や売却の提案を比べることをおすすめします。
Q6. 住宅ローンが残っていても、売却できますか?
A. できます。売却代金でローンの残債を完済し、抵当権を抹消するのが一般的です。
Q7. 賃貸中のマンションを、そのまま売却できますか?
A. できます。「オーナーチェンジ」といい、投資用として購入する買い手が対象となります。
Q8. 相続したマンションでも、「空き家の3,000万円特別控除」は使えますか?
A. 原則として使えません。マンションなどの区分所有建物は対象外とされています。詳しくは税理士や税務署にご確認ください。
Q9. 売却を決めていませんが、査定だけでも依頼できますか?
A. もちろんです。「売る」「貸す」「持ち続ける」のどれがよいか整理する材料としてもお役立てください。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的として作成されたものであり、個別の法律・税務・登記に関する助言を行うものではありません。実際の手続きや判断にあたっては、必ず弁護士・税理士・司法書士などの専門家、または国税庁・国土交通省等の公式情報をご確認ください。
参考情報(公的機関)
・法務省:老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等に関する法改正
・国税庁:マイホームを売ったときの特例
・国土交通省:住宅ローン減税(既存住宅)に関する情報
・国土交通省:不動産情報ライブラリ