世田谷区の実家を相続したら?「争続」を防ぎ、納得の価格で売却するための完全ガイド
はじめに:親の実家を相続して、最初に感じる「どうしよう」
「親が亡くなり、世田谷区の実家を相続することになった。でも自分は遠方に住んでいて、管理に通えない」 「兄弟三人で相続するが、誰も住む予定がない。話し合いで揉めないか心配だ」 「相続税はいくらかかるのか、払えるのか分からない」
世田谷区に実家をお持ちだったご家族からは、こうしたご相談を数多くいただきます。大切な親御さんを亡くされた直後に、手続き、税金、家族間の話し合い、そして不動産の扱いを一度に考えなければならないのですから、戸惑うのは当然です。
世田谷区の不動産は、評価額が高くなりやすいという特徴があります。そのため、相続人が複数いると「分けにくさ」が表面化しやすく、それがいわゆる「争続(そうぞく)」の火種になることも少なくありません。一方で、手順を正しく踏み、使える特例を知り、地域の事情に合った売り方を選べば、負担を抑えながら円満に解決できるケースがほとんどです。
この記事では、世田谷区の実家を相続した方が、何から手をつけ、どこで判断を迫られ、どう売却まで進めるかを、順を追って解説します。
この記事でわかること
相続した実家を売るまでの全体の流れ(4ステップ)
2024年4月から始まった「相続登記の義務化」で注意すべき点
世田谷区の実家ならではの売却時の壁(用途地域・狭あい道路・エリア差)
相続不動産を売るときに使える主な税の特例
兄弟間で揉めないための分け方と、事前の話し合いのコツ
荷物が残っていても、共有名義でも売れるのか
第1章 まず知っておきたい:相続した不動産には「期限」がある
相続の手続きには、期限が決まっているものがいくつかあります。まずは全体像をつかんでおきましょう。
手続き期限の目安
相続税の申告・納付相続の開始を知った日の翌日から10か月以内
相続登記(不動産の名義変更)相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内
空き家の3,000万円特別控除を使う場合の売却期限相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで(かつ制度の適用期間内)
取得費加算の特例を使う場合の売却期限相続税の申告期限の翌日から3年以内
これらは一見バラバラですが、実際にはすべてが連動しています。たとえば「相続税の申告期限(10か月)までに遺産分割がまとまらない」と、受けられる特例が使えなくなる場合があります。「売却は急がなくていい」と思っていても、期限から逆算すると意外に時間は残されていないのです。
第2章 世田谷区の相続不動産ならではの「リアルな壁」
相続不動産の売却は全国共通の部分も多いのですが、世田谷区には地域特有の事情があります。ここを知らずに進めると、「思ったより高く売れなかった」「買い手がつかなかった」という結果になりかねません。
2-1 用途地域・建ぺい率の制限が厳しいエリアが多い
世田谷区は、閑静な住宅街が広がる区として知られています。その背景には、第一種低層住居専用地域をはじめとする、住環境を守るための厳しい制限があります。
低層住居専用地域では、建てられる建物の高さや用途が限られます。建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)や容積率(敷地面積に対する延床面積の割合)も、目安としては建ぺい率40〜60%、容積率80〜150%程度の指定が多く、広い敷地でも思ったほど大きな家は建てられないことがあります。(具体的な数値は地点ごとに異なります。必ず対象地の指定内容を確認してください。)
さらに、エリアによっては次のような規制が重なることがあります。
地区計画:建物の用途、高さ、外壁の後退距離、敷地面積の最低限度などを、地区ごとに細かく定めるもの
風致地区:緑や景観を守るため、建物の形態や敷地内の緑化に制限がかかるもの
高度地区:建物の高さを、斜線などで追加的に制限するもの
「古い実家を壊して更地にすれば高く売れるはず」と考える方は多いのですが、世田谷区では更地にしても期待したほど高く売れないケースがあります。理由は、買い手が土地に建てられる家の規模を事前に計算するからです。建ぺい率・容積率が厳しいと、買い手にとっての魅力が下がり、価格に反映されてしまいます。
また、敷地面積の最低限度が定められている地区では、土地を分割して売ること(いわゆる「分筆して2区画で売る」方法)ができない場合があります。「広い土地だから分けて売れば高くなる」という発想が通用しないこともあるため、分割を考える前に、必ず規制を確認することが大切です。
2-2 狭あい道路(セットバック)の問題
世田谷区には、昔ながらの細い道に面した住宅地が数多くあります。建築基準法では、建物を建てる敷地は原則として幅員4m以上の道路に2m以上接していなければなりません(接道義務)。幅員が4mに満たない道で、特定行政庁が指定したものは「2項道路(みなし道路)」と呼ばれ、将来の建て替えのときには、道路の中心線から2mの位置まで敷地を後退(セットバック)させる必要があります。
つまり、実家の前の道が狭い場合、建て替え時に土地の一部が道路になってしまい、使える敷地が減るということです。たとえば道の幅が3mなら、反対側が宅地であれば自分の敷地を50cm分後退させる計算になります(道の向かい側に川や崖がある場合など、例外もあります)。
売却時の注意点は次のとおりです。
セットバックが必要な部分は、建ぺい率・容積率の計算に使える面積から外れるため、実質的な有効面積が減る
買い手は、その点を織り込んで価格を判断する
一方で、売る側がセットバックの必要性を事前に把握し、説明しておくと、後からの値引き交渉やトラブルを避けやすい
世田谷区では、狭あい道路の拡幅整備に関する区の制度(後退部分の測量や整備などを支援する仕組み)が設けられています。内容や条件は変更されることがあるため、実家の前面道路の状況を確認したうえで、世田谷区の窓口や公式案内で最新の内容を確認しておくと安心です。
また、まれにそもそも接道義務を満たしておらず、再建築ができない土地もあります。この場合は一般的な売却と異なる戦略(隣地所有者への売却、買取業者への売却など)が必要です。「再建築できるかどうか」は、最初に確認すべき最重要ポイントのひとつです。
2-3 エリアによって「売れ方」がまったく違う
世田谷区と一言でいっても、エリアごとに買い手層や売れ方は大きく異なります。ここでは一般的な傾向として、代表的なエリアの特徴を紹介します。(以下は一般的な傾向であり、個別の物件の価格を示すものではありません。実際の相場は査定でご確認ください。)
成城・等々力・用賀など閑静な住宅エリア:ゆとりある敷地と静かな環境を求める、比較的資金力のある買い手が中心。土地の広さや形、緑の多さが評価されやすい一方、広すぎる土地は買い手が限られることもあります。
三軒茶屋・下北沢周辺:交通利便性や街の活気を重視する層に人気。比較的コンパクトな土地や、賃貸活用を前提とした買い手も多いのが特徴です。
二子玉川周辺:再開発で街の魅力が高まり、ファミリー層を中心に需要が厚いエリア。駅距離や周辺環境の差が価格に出やすい傾向があります。
経堂・駒沢・桜新町周辺:落ち着いた住環境と都心へのアクセスを両立し、戸建てを探すファミリーに安定した需要があるエリア。
同じ世田谷区の実家でも、どのエリアか、駅からの距離、土地の形、道路の状況によって、最適な売り方は変わります。だからこそ、地域の取引事情を知っている地元の不動産会社に相談する意味があります。
ここからは、実際の手続きの流れを4つのステップで整理します。
最初にやるべきことは、遺言書の有無の確認です。
自宅で保管されていた自筆証書遺言は、原則として家庭裁判所での「検認」が必要です(法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用していた場合は検認は不要です)。
公証役場で作成された公正証書遺言は検認が不要です。
遺言書が見つかったら、勝手に開封せず、まず専門家に相談しましょう。
次に、相続人の確定を行います。被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍を集め、誰が相続人なのかを確認します。「家族だから分かっている」と思っていても、前婚のお子さんがいたなど、思わぬ相続人が判明することもあります。
あわせて、相続財産の全体像を把握します。不動産、預貯金、有価証券、そして借金などのマイナスの財産も含めて一覧にしましょう。財産の総額が分からないと、分け方の話し合いも、税金の計算もできません。
もし借金のほうが多い場合などは、3か月以内に家庭裁判所で相続放棄の手続きをする選択肢もあります。ただし、相続放棄をすると不動産を含めすべての財産を相続できなくなるため、慎重な判断が必要です。
Step2 遺産分割協議と相続登記(2024年4月から義務化)
遺言書がない場合や、遺言書でカバーされていない財産がある場合は、相続人全員で遺産分割協議を行います。協議がまとまったら、全員の署名と実印による「遺産分割協議書」を作成します。
そして、不動産の名義を変更する相続登記です。
ここが変わりました:相続登記の義務化 2024年4月1日から、相続登記が義務化されました。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記を申請しなければならず、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象となる可能性があります。 また、2024年4月1日より前に発生した相続で、まだ登記をしていない不動産も対象です。この場合は、施行日(2024年4月1日)から3年間(2027年3月31日まで)の猶予期間内に登記する必要があります。 遺産分割がすぐにまとまらない場合には、「相続人申告登記」という簡易な手続きで、とりあえず義務を果たす方法もあります。
売却を考えている場合、買主に所有権を移転するためには、売主の名義が相続人になっていることが前提です。そのため、売却するなら相続登記は避けて通れません。登記手続きは司法書士の専門分野ですので、早めに相談することをおすすめします。
名義が整ったら、いよいよ売却の準備に入ります。
1. 査定を受ける まずは不動産会社に査定を依頼します。複数社に依頼して比較するのが基本ですが、世田谷区の相続不動産は、土地の個別事情(用途地域、道路、境界、建物の状態)による価格差が大きいため、地域の取引に詳しい会社の意見も聞いておくと安心です。
2. 売却方法を選ぶ(仲介か買取か)
仲介買取
売却先一般の買い手不動産会社
価格高く売れる可能性がある仲介より低くなる傾向がある
期間数か月以上かかることがある比較的短期間で現金化しやすい
向いている人時間をかけても高く売りたい人早く確実に売りたい人、残置物や古い建物をそのまま手放したい人
「相続税の納付期限が迫っている」「遠方で内覧対応ができない」「建物が古く、残置物も多い」といった場合は、買取を選ぶ価値があります。一方、時間に余裕があり、少しでも高く売りたい場合は、仲介が基本になります。
3. 古家付きで売るか、更地にするか 先述のとおり、世田谷区では更地にしても思ったほど価格が上がらない場合があります。しかも、建物を解体すると固定資産税の住宅用地特例(土地の税負担が軽減される仕組み)が外れ、税額が上がることがあります。さらに、解体費用もかかります。そのため、「古家付きのまま売る」「買い手が決まってから解体する」といった選択肢も含めて、不動産会社に相談しましょう。
なお、空き家を放置して管理が不十分になると、空家等対策特別措置法に基づき、「管理不全空家」や「特定空家」に指定され、固定資産税の優遇が受けられなくなる可能性があります。相続後は、売却までの間も最低限の管理(通風、庭木、郵便物、防犯)を続けることが大切です。
4. 媒介契約を結び、売却活動へ 不動産会社と媒介契約(専属専任・専任・一般)を結び、広告、内覧、価格交渉、売買契約、決済・引き渡しへと進みます。
Step4 確定申告と税金の納付
売却して利益(譲渡所得)が出た場合は、売却した翌年の確定申告期間(通常は2月中旬〜3月中旬)に、譲渡所得の申告と納税が必要です。
譲渡所得は、おおまかに次の式で計算します。
譲渡所得 = 売却価格 −(取得費 + 譲渡費用)
取得費:親が購入したときの価格と、その後の建物の減価償却を考慮した金額。購入時の書類が見つからない場合は、売却価格の5%で計算するのが原則となり、結果として税額が大きくなりやすいので、売買契約書などの資料は探しておきましょう。
譲渡費用:仲介手数料、印紙税、測量費、解体費用など、売却のために直接かかった費用。
相続した不動産の場合、被相続人の取得時期を引き継ぐため、多くは所有期間5年超の「長期譲渡所得」として扱われ、税率は所得税15%、住民税5%、これに復興特別所得税(所得税額の2.1%)がかかり、合計で約20.315%となります。
売却して税金がどうなるかは、特例の使い方で大きく変わります。次の章で詳しく見ていきましょう。
税金の面では、知っているかどうかで手元に残る金額が変わります。代表的なものを3つ紹介します。(適用には細かい条件があります。必ず税理士や税務署に確認してください。)
4-1 被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の3,000万円特別控除
亡くなった親が一人で住んでいた実家が空き家になり、それを売却した場合に、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例です。主な要件は次のとおりです。
昭和56年5月31日以前に建築された建物であること(マンションなどの区分所有建物は対象外)
相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること(かつ、制度の適用期限内であること。現行制度では令和9年(2027年)12月31日までの売却が対象です)
売却代金が1億円以下であること
売却時までに、耐震基準に適合させるか、建物を取り壊していること(買主が解体・耐震改修する場合も、一定の期限内であれば対象となる場合があります)
2024年1月以降の売却では、相続人が3人以上の場合、控除額は1人あたり2,000万円までに変更されています。兄弟3人で相続した場合、控除は1人あたり最大2,000万円ずつとなります。
この特例は、要件を満たしているかの確認が非常に重要です。被相続人が老人ホームに入居していた場合の扱いなど、細かい論点が多いため、売却前に必ず専門家に確認しましょう。
4-2 相続税の取得費加算の特例
相続税を支払った人が、相続した不動産を相続税の申告期限の翌日から3年以内に売却した場合、支払った相続税のうち売却した不動産に対応する部分を、取得費に加算できる特例です。これにより譲渡所得が圧縮され、税負担が軽くなります。
ただし、4-1の空き家特例とは併用できません。どちらが有利かは、物件の状況や相続税の額によって異なります。複数の選択肢を比較して判断する必要があります。
4-3 小規模宅地等の特例(相続税の評価減)
こちらは売却時の税金ではなく、相続税の計算に関する特例です。亡くなった方が住んでいた宅地を、一定の要件を満たす親族が相続した場合に、330㎡までの部分について土地の評価額を最大80%減額できる制度です。
世田谷区は土地の評価額が高いため、この特例の有無で相続税が大きく変わることがあります。ただし、取得する親族が同居していた場合や、一定の「家なき子」の要件を満たす場合など、条件が複雑です。また、この特例を適用するには、原則として相続税の申告期限までに遺産分割が成立している必要があるため、遺産分割協議を長引かせないことが重要です。
なお、相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。たとえば法定相続人が3人なら4,800万円です。世田谷区の不動産を相続する場合、評価額がこの基礎控除を超える可能性は十分にあります。「うちは大した財産はないから相続税は関係ない」と思い込まず、まず試算してみることが大切です。
第5章 「争続」を防ぐ:兄弟間で揉めないための分け方
不動産相続で揉めやすい最大の理由は、不動産は「きれいに分けにくい」財産だからです。預貯金なら等分できますが、実家は1つしかありません。代表的な分け方と、それぞれの特徴を整理します。
分け方1:現物分割
特定の相続人が不動産をそのまま相続します。シンプルですが、他の相続人との公平性が課題になります。
分け方2:換価分割
不動産を売却して現金化し、その代金を相続人で分けます。公平に分けやすく、世田谷区の実家のように「誰も住まない」場合には最も一般的な方法です。
分け方3:代償分割
特定の相続人が不動産を取得し、他の相続人に対して代わりの金銭(代償金)を支払います。実家に住み続けたい相続人がいる場合に有効ですが、代償金を支払う資力が必要です。
分け方4:共有(持分で分ける)
複数の相続人が共有名義で相続します。一見公平ですが、後々のトラブルのもとになりやすいため、慎重に考える必要があります。
共有名義の落とし穴 共有名義にすると、売却や大規模な修繕などの際に、原則として共有者全員の合意が必要になります。「兄は売りたいが、弟は反対」となると身動きが取れません。さらに、共有者の一人が亡くなると、その持分がさらに細かく相続され、権利関係がどんどん複雑になることがあります。「とりあえず共有にしておこう」は、先送りしただけで、問題を次の世代に引き継ぐことになりかねません。
話し合いをスムーズにする3つのコツ
「感情」と「お金」を分けて話す:実家への思い入れと、金銭的な公平さは別の問題です。思い出を語る場と、具体的な数字を話す場を分けると冷静になれます。
客観的なデータを用意する:実家の価値について、複数の査定や相続税評価額など、誰もが納得できる客観的な数字を共有しましょう。
第三者に入ってもらう:当事者同士だけでは感情的になりがちです。不動産会社、司法書士、弁護士、税理士など、中立的な専門家に同席してもらうことで、話し合いが前に進むことは珍しくありません。
話し合いが難航して、相続人同士で解決できない場合は、家庭裁判所の調停・審判という手続きもあります。しかし、時間も費用もかかり、家族関係も傷つきやすいため、できる限り話し合いの段階で解決することを目指しましょう。
ここでは、実際によくあるご相談のパターンをもとにした想定ケースを紹介します。(以下は典型的な相談パターンをもとにした架空の例であり、実際の成約事例ではありません。)
想定ケース1:空き家特例を活用して、税負担を抑えるケース(経堂エリア・築40年の戸建て)
ご相談の背景 父親が亡くなり、兄弟3人が経堂エリアの築40年の戸建てを相続。母親はすでに他界しており、父親が一人で暮らしていた。兄弟はそれぞれ別の地域に住んでおり、誰も住む予定がない。
・課題
空き家のまま放置すると、管理の負担や固定資産税が続く
売却すると譲渡所得税がかかりそう
兄弟間で「売る」「残す」の意見が分かれそう
-進め方のイメージ
まず相続人全員で、売却の方向性を確認。複数の査定結果を共有して、客観的な数字をもとに話し合う
建築年が昭和56年5月31日以前であることなど、空き家特例の要件を確認
税理士に相談し、空き家特例と取得費加算の特例のどちらが有利かを試算
期限(相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日)から逆算して、売却スケジュールを設定
耐震基準への適合または解体の方法を、買主の意向も踏まえて決定
-ポイント このケースの肝は、「期限から逆算して動く」ことです。特例の要件を満たしていても、期限を過ぎてしまうと使えなくなります。また、相続人が3人の場合は、控除額が1人あたり最大2,000万円となる点も押さえておく必要があります。
想定ケース2:境界が不明確な土地を、整理して売却するケース(等々力エリア・変形地)
ご相談の背景 等々力エリアで、先代から引き継いだ古い土地。隣地との境界を示す杭が見当たらず、一部が変形した形をしている。
・課題
境界が不明確だと、買い手がつきにくい、もしくは売買契約後にトラブルになるおそれがある
隣地の所有者との話し合いが必要になる
変形地のため、通常の評価より価格が下がる可能性がある
-進め方のイメージ
土地家屋調査士に依頼して、現地測量と境界の確認を行う
隣接する土地の所有者に立ち会いを依頼し、境界を確認する(境界確認書の取り交わし)
境界が確定したら、測量図をもとに正確な面積を算出
変形地の特徴を踏まえた売却戦略を検討(隣地所有者への売却、買取業者への売却など)
-ポイント 世田谷区の住宅地には、昔の測量による古い土地が多く、境界が曖昧なままのケースが少なくありません。売却前に境界を確定させておくことは、トラブルを予防するだけでなく、買い手の安心にもつながり、結果として売却をスムーズにします。 手間と費用はかかりますが、後々の紛争を考えると、先に整理しておく価値は大きいといえます。
第7章 売却前によくある不安と、その考え方
・荷物が残ったままでも売却できますか?
売却できます。 実家には、親御さんの家財道具や思い出の品が大量に残っていることがほとんどです。「片付けてからでないと売れない」と思い込んで、手が止まってしまう方は少なくありません。
買取の場合は、残置物をそのままの状態で買い取れるケースがあります。
仲介の場合は、売却前に片付けるのが一般的ですが、「現状渡し」として、残置物ごと売却する方法もあります(買主との合意が必要です)。
遺品整理業者に依頼する方法もあります。費用の目安は、物量や間取りによって大きく異なります。
大切な思い出の品は、売却が決まる前に、相続人でゆっくり選別しておきましょう。
・共有名義で相続してしまいました。自分の持分だけ売れますか?
法律上、共有者は自分の持分だけを売却することは可能です。ただし、現実には次のような課題があります。
持分だけを買う人は少なく、売却価格が大幅に低くなる傾向がある
他の共有者の権利が残るため、買主にとっては使いにくい
実際には、共有者全員で足並みを揃えて不動産全体を売却するほうが、有利な条件になることが多い
まずは共有者全員で話し合い、全体を売却する方向で調整できないかを検討するのが基本です。話し合いが難しい場合には、弁護士などの専門家に相談し、共有物分割の手続きや持分の整理方法を検討しましょう。
一般的な目安として、仲介の場合は、査定から引き渡しまで数か月から半年程度かかることが多いといえます。ただし、これはあくまで目安です。
相続登記や遺産分割がまだ終わっていない場合は、その手続きの期間が加わります。
境界確定や測量が必要な場合は、さらに数か月かかることもあります。
買取であれば、条件が整えば、1か月程度で完了する場合もあります。
特例の適用期限や相続税の納付期限がある場合は、期限から逆算して、早めに動き始めることが重要です。
・相続した土地を売らずに持ち続けるのは、よくないですか?
必ずしも「売るべき」というわけではありません。ご家族が住む、賃貸に出す、土地活用をするなど、保有を続ける選択肢もあります。ただし、保有を続ける場合には、固定資産税・都市計画税、建物の維持管理費、将来の相続(次の世代への負担)を考える必要があります。「売る」「持つ」「活用する」のそれぞれについて、メリットとデメリットを比較して決めるのがおすすめです。
第8章 不動産会社選びのポイント:なぜ「地元」に強い会社か
相続不動産の売却では、不動産会社選びが結果を左右します。次の視点で比較してみてください。
地域の取引事情に詳しいか:世田谷区は、エリアごと、さらには同じエリアでも道路ひとつ違うだけで価格が変わります。地元での取引経験は、査定の精度や買い手探しに直結します。
相続に関する理解と、専門家との連携があるか:相続不動産は、登記、税金、権利関係など、法律や税務の知識が必要な場面が多くあります。必要に応じて、弁護士、司法書士、税理士などと連携できる体制があるかどうかを確認しましょう。
査定価格の根拠を、丁寧に説明してくれるか:高い査定額を提示するだけの会社ではなく、その根拠を具体的に説明し、リスクも含めて正直に伝えてくれる会社を選びましょう。
無理に売却を勧めないか:「まず相談したい」という段階でも、状況を丁寧に聞いたうえで、売却以外の選択肢も含めて提案してくれる会社が望ましいといえます。
第9章 当社(株式会社ピーエフ&パートナーズ)にご相談いただけること
株式会社ピーエフ&パートナーズは、駒沢大学駅から徒歩2分の世田谷区駒沢に拠点を置き、世田谷区・目黒区を中心に、不動産の買取・売却、相続した物件のご相談、賃貸管理、不動産に関するトラブルのご相談までお受けしています。
買取・売却:お客様のご事情(時間、価格、物件の状態)に合わせて、買取と仲介の両面からご提案します。
相続した物件のご相談:売却するか、活用するか、持ち続けるかについて、状況をうかがったうえで選択肢を整理します。
弁護士との連携:権利関係や契約に関する法的な課題がある場合は、不動産法務に精通した提携弁護士と連携して対応します。
相続に関する専門家のご紹介:登記や税務などが必要な場合は、ご状況に応じて専門家につなぎます。
まとめ:焦らず、でも期限は意識して。最初の一歩は「現状の整理」から
世田谷区の実家を相続したときに、大切なポイントをもう一度整理します。
期限を知る:相続放棄3か月、相続税申告10か月、相続登記3年。特例の売却期限も見落とさない
世田谷区ならではの壁を知る:用途地域・地区計画、狭あい道路、接道、エリアごとの需要の違い
税の特例を比較する:空き家特例、取得費加算、小規模宅地等の特例。併用できないものもある
「争続」を避ける:不動産は分けにくい財産。換価分割や代償分割を含め、早めに全員で方向性を共有する
専門家の力を借りる:不動産会社、司法書士、税理士、弁護士。それぞれの得意分野を使い分ける
相続は、多くの方にとって人生で何度も経験するものではありません。分からないことがあって当然です。「まずは今の状況を整理したい」「売るかどうかもまだ決めていない」という段階でも、遠慮なくご相談ください。
「まずは相続した実家がいくらくらいになるのか知りたい」「手続きの順番を整理したい」という方は、お気軽にご連絡ください。無理に売却をお勧めすることはありません。
株式会社ピーエフ&パートナーズ 〒154-0012 東京都世田谷区駒沢2丁目6番2号 アイタワー4F(駒沢大学駅より徒歩2分) 電話:03-6805-5999 LINEでのご相談も受け付けています。 宅地建物取引業免許:東京都知事(3)第87902号
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よくある質問(FAQ)
Q1. 相続登記をしないまま売却することはできますか? A. できません。買主に所有権を移すためには、売主が登記上の所有者になっている必要があります。また、2024年4月から相続登記は義務化されており、期限内に申請する必要があります。
Q2. 相続税がかかるかどうか分かりません。どうすればよいですか? A. 基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)と、相続財産全体の評価額を比べて判断します。世田谷区の不動産は評価額が高くなりやすいため、早めに税理士へ相談し、試算してもらうことをおすすめします。
Q3. 相続人の一人が遠方に住んでいて、手続きに参加できません。 A. 遺産分割協議は、必ずしも全員が集まる必要はありません。書面や郵送でのやり取りで進めることも可能です。ただし、協議書への署名・実印・印鑑証明書が全員分必要になります。
Q4. 相続人の一人と連絡が取れません。 A. 相続人全員の合意が必要な手続きでは、一人でも欠けると進められません。このような場合は、家庭裁判所の手続きなどが必要になることがあるため、弁護士に相談してください。
Q5. 古い実家は、解体してから売ったほうがよいですか? A. 一概には言えません。世田谷区では、更地にしても思ったほど高くならないことがあり、解体費用や固定資産税の増加も考慮する必要があります。まずは古家付きのまま査定を受け、比較検討するのがおすすめです。
Q6. 売却と賃貸、どちらがよいですか? A. ご家族の状況、物件の状態、資金計画によって異なります。賃貸の場合は、建物の修繕費、空室リスク、管理の手間も考慮する必要があります。それぞれの収支を試算し、比較して判断しましょう。
免責事項
本記事は、一般的な情報提供を目的として作成されたものであり、個別の法律・税務・登記に関する助言を行うものではありません。制度の内容や要件は改正されることがあります。実際の手続きや判断にあたっては、必ず弁護士、税理士、司法書士などの専門家、または国税庁、法務省、世田谷区などの公式情報をご確認ください。
【参考にした公的情報(公開時に最新ページのリンクを設置してください)】
国税庁:被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
国税庁:相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3267.htm
法務省:相続登記の申請義務化について
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html
世田谷区:都市計画情報、狭あい道路拡幅整備事業
https://www.city.setagaya.lg.jp/02066/3823.html